2020年東京五輪・パラリンピックの費用負担問題で、東京都と政府、大会組織委員会、開催自治体による連絡協議会が31日、都内で開かれた。

 警備や会場への輸送費用は開催自治体が担うなどとした招致段階の「立候補ファイル」に沿って分担する原則を確認し、大枠で合意した。反発していた都外の自治体の理解も得られて混乱が収まり、大会準備が前進する形が整った。

 焦点となっていた都外会場の経費は当初想定した計400億円から350億円程度に圧縮した試算を示した一方、各自治体への具体的な金額の割り振りなどは先送りした。今後、都と自治体を中心に協議を急ぐ。金額面での合意には埼玉県などが反発していた。都と組織委は、予備費を除く開催費用総額を1兆3850億円とする最新の試算を提示した。都と組織委が6000億円ずつ、国が1500億円を負担する。

 合意文書には、都外の自治体が持つ会場の賃借料などは都が負担すると明記。都はセーリング会場となる神奈川県・江の島の周辺海域の漁業補償など、会場使用に伴う営業補償も負担する考えを示した。神奈川県の黒岩祐治知事は「ほぼパーフェクトに近い。遅れていたが、大会に向けた準備に早急に取り組んでいきたい」と満足感を示した。

 会議に先立って丸川珠代五輪相と会談した安倍晋三首相は「これから皆で協力して、前に進んでいく形になることが望ましい」と述べた。協議会で組織委の森喜朗会長は「各自治体にはご迷惑をお掛けし、心からおわび申し上げる。遅れを取り戻したい」と述べた。

 丸川氏は、国としても都外の自治体への補助金や財政措置が可能か検討する考えを示した。経費支出を共同管理する委員会を新設し、国や都、組織委などで大会経費の支出が適正か判断する組織態勢も決まった。

 都外会場があるのは北海道と宮城、福島、埼玉、千葉、神奈川、静岡の6県。立候補ファイルには、都以外の自治体は「警備や医療サービス、会場への輸送など大会開催に必要な事項を実施する」と記載されている。

 協議会は冒頭のみを報道陣に公開する予定だったが、急きょ全て公開された。