第48回春季全道高校野球大会が31日、札幌円山球場で開幕する。30日は札幌地区をのぞく11校が公式練習を行った。開幕戦で函館大有斗と対戦する初出場の武修館(北海道・釧路、根室地区)は、打力で春1勝を狙う。今年は「日本一のスイング」をテーマに守備型から攻撃型のチームに変ぼう。多いときで1日1000スイングを振り込み、強化してきた。

 かけ声とともに走りだした武修館ナインの顔は、自信に満ちあふれていた。チームで円山の土を踏んだ経験があるのは川越健人主将(3年)だけ。緊張で浮足立っても不思議はないが、強風が吹く中、打球の処理を無難にこなした。島影隆啓監督(27)は「疲れはあるが状態は悪くない。冬場やってきたうちのバッティングを出せれば」と初出場、しかも開幕戦だが気負いはまったくなかった。

 昨夏の北北海道大会は2回戦、一昨年も準決勝で敗退と勝ちきれない試合が続いた。昨秋は全道を逃し、守備のチームの限界を痛感。今冬、打撃のチームを目指した。鉄骨所で働くOBに頼み、約3キロの鉄バットを十数本購入。多いときでゴルフボールを使ったティーを300球、さらに、普通のバットでロングティーを50球10セット、素振り200球とメリハリをつけて1日1000本以上を振り込んできた。

 選手の手の皮はボロボロになったが、地区大会では、全道出場15校の中で2番目に高い打率4割1分4厘をマークした。川越主将は「手の皮が硬くなって厚くなった。自信になった」と手応えを口にする。

 「脳内革命」の成果も出た。チームは練習前に毎日1時間、父母会の援助で購入した自己啓発CDを聞いた。また月2回メンタル講義を聞き、精神面を徹底的に鍛えてきた。川越主将は「チームはつらいとかマイナスの言葉が出なくなった。気持ちが前向きになった」と超ポジティブ集団になった。心身ともに変身した武修館が、夏につながる春1勝をつかみ取る。【松末守司】