<バレーボール:全日本選手権:JT3-2東レ>◇2日目◇19日◇準決勝◇東京体育館

 男子の東レがフルセットの末、JTに競り負けて2連覇を逃した。第2セット途中で左足首をねんざしながら出続けた越谷章(30)に引っ張られ、最終セットまで持ち込んだが、最後はミスが重なって力尽きた。それでも、V・プレミアリーグ戦では見せられなかった終盤での粘りを発揮。秋山央監督(39)は悔しさをかみ殺しながら「この先、そんな簡単に負けることはない」と強気の言葉を並べた。

 富松崇彰(25)のサーブが大きく外れた瞬間に、東レの2連覇は消えた。アタック決定率は50・8%(JT47・3%)、サーブレシーブ成功率も76・4%(同69・8%)と、相手を上回った。第4セットで追いつき、最終セットの流れは東レにあった。だが、篠田歩主将(30)は「内容は悪くなかったが、2セット目で崩れてから立ち直れなかった。立ち直るために力を使い、最後に落っこってしまった」。そして力尽きた。

 勝機があっただけに悔しさもひとしお。だが、粘りはよみがえってきた。第1セットを取りながら、続く2セットを連取されるのはリーグ戦と同じパターン。その悪い流れをせき止めたのはベテラン越谷だった。

 第2セット途中で着地に失敗し、左足首をねんざした。いつも大げさに振る舞うタイプだが、この日はさすがに「きつかった」と足を引きずった。それでも交代を願い出ることはせず、出場して跳び続けた。直後にアタックを決めるなど3本のブロックを含む15得点をマーク。「フルセットまで何とか持ち込めたのは今までにはない流れ。次につなげられれば」と願った。

 26日からは再びリーグ戦が始まる。合流が遅れた代表組との息も徐々に合ってきた。秋山監督は「JTというまとまったチームに、未完成でまだゆがみがある中でも組めたというのは手応え。この先、そんな簡単に負けることはない」と強気に言った。越谷も「ようやく合うようになってきた面はある。我慢ですよ」。この日の悔しさは、最大目標であるリーグ連覇へのこやしにする。【今村健人】