これが2020年東京五輪のメーンスタジアムだ。独立行政法人日本スポーツ振興センターは15日、都内で会見を開き、19年3月に完成予定の新国立競技場の基本デザインを発表した。7月に世界から公募。46点が集まり、この日の有識者会議で、英国在住のイラク人建築家であるザハ・ハディド氏(62)設計のデザインが採用された。

 04年に建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞したハディド氏は、今年のロンドン五輪の水泳センターを設計したことでも知られ、流線形の屋根が特徴だ。デザインの審査委員長である建築家の安藤忠雄氏は「スポーツの躍動感を思わせるような斬新なデザイン」と絶賛。10人の審査員が満場一致で最優秀賞に選んだ。

 64年東京五輪のメーンスタジアムだった現在の国立競技場を建て直す新国立競技場構想は、19年のラグビーW杯日本開催の招致に成功し、最低でも8万人規模のスタジアムが必要になったことからスタート。20年東京五輪の招致活動が決まり、同五輪のメーン競技場としても計画された。

 屋根は開閉式となる。総工費は1300億円の予定だが、実際には、それ以上にふくらむことが予想される。また、橋のようなアーチ状の架橋は「建築できるのは日本の技術だけ」(安藤氏)。ハディド氏は、世界の建築界で「実現できない斬新なデザイン」で有名とされ、過去、デザインは優秀ながら、建築困難から頓挫した計画も多いという。その困難な建築を実現できれば、逆に日本の力のアピールになる。【吉松忠弘】