<卓球:全日本選手権>◇第1日◇15日◇東京・国立代々木競技場

 体育館に、卓球台がない?

 競技は午後3時から始まる予定が、開始時刻になっても卓球台やネット、フェンスなどの用具が届かないハプニング。大会は前代未聞となるドタバタ劇での幕開けとなった。

 屋内競技である卓球にも、大雪の余波が及んだ。「卓球台を積んだトラックがいつ着くか分からない」。大会関係者は焦り顔だった。大会では新品の用具を使用するため、茨城・水戸市内のメーカー工場から輸送。大雪を考慮して約5時間早め、14日午後10時頃に水戸を出発。ところが、常磐道などの高速道路は通行止め。一般道しか通れず、さらに渋滞に巻き込まれて身動きの取れない状態になった。

 雪かきされた代々木第1体育館の搬入口には、トラックの到着を待つ関係者が並んだ。卓球協会では警察車両の協力を得て、パトカーがトラックを先導。高速中央環状線の四つ木から高速に入り、午後3時45分にトラックが到着した。1台目の卓球台が体育館に運び込まれると、会場からは拍手が湧き起こった。

 そこから役員、審判など約200人が素早く準備を開始した。通常は2時間ほどかかるところを、約1時間で完了させた。この日予定されていた試合の一部は今日16日に回されたが、卓球協会の前原専務理事は「なんとかここまで準備できてよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

 日も落ちた午後5時半から第1試合が開始。待機していたジュニアの選手が入ると、静かだった会場が熱気に包まれた。すべての試合が終わったのは、午後9時半。選手の「ありがとうございました」という声が体育館に響いた。【保坂恭子】