<W杯スノーボード:ハーフパイプ>◇24日◇ニュージーランド・カードローナ

 スノーボード・ハーフパイプ(HP)のW杯開幕戦が行われ、男子決勝でW杯初出場の平野歩夢(14=バートン)が1回目に大技のダブルコーク(回転軸をずらしながら3回転)を決め、92・25点の高得点を出して14歳8カ月の最年少優勝を飾った。

 身長160センチの小さな体が、高く舞い上がった。決勝の大舞台で4つ目の技に選んだのは、横3回転を連続で決めた後に、回転軸をずらしながら3回転する大技「ダブルコーク」。速いスピードで空中に飛び出すと、持ち味の高いジャンプを披露。着地まで丁寧に決め、減速せずに滑りきって別格の強さを見せつけた。

 五輪2連覇中のホワイト(米国)が負傷で出場せず、世界選手権覇者のポドラドチコフ(スイス)や10年バンクーバー五輪銅メダルのラゴ(米国)らは調整不足からか、決勝にすら残らなかった。運も味方に、表彰台の頂点に立った。W杯に出場できる年齢に達したばかりの“天才少年”は「緊張はなかった。着地が安定していた。(技と技の間を)きれいにつなげられた」と冷静に振り返った。

 14歳ながら経験は豊富だ。4歳からボードに乗り始め「跳ぶことが楽しい」と夢中になった。新潟県村上市の海沿いで育ったが、泳ぎは苦手。父からサーフィンを習うことよりも、スノーボードに真剣に取り組んで実力をつけ、中1から国際大会を転戦し始めた。冬季Xゲームでは史上最年少での2位に入り、強豪選手のみ出場できる北米の総合競技大会にも招待されるほど。日本の治部コーチは「スムーズな回転が魅力。高難度の技でも、まるで簡単なことのようにすることができる」と目を細める。

 来年2月のソチ五輪出場へ、大きく近づく優勝。「五輪までもっと時間がほしい」と話すが、目標に掲げる「五輪優勝、打倒ショーン・ホワイト」のため、さらに高難度の技にも挑戦中。「時間はあまりないが、新しい技も練習していきたい」と力強く話した。

 ◆平野歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日、新潟県村上市生まれ。村上一中3年。4歳から、3歳年上の兄の影響で一緒にスケートボード、スノーボードを始める。昨季は冬季Xゲームで最年少での2位。好きな選手は06年トリノ、10年バンクーバー五輪代表の国母和宏。160センチ。血液型O。

 ◆ソチ五輪出場への道

 スノーボードの男子ハーフパイプの場合、ランク特A、A、B、Cに該当するSAJ強化指定選手、もしくはスノーボード部国内強化指定選手が対象になる。今大会のW杯開幕戦の他、12月14日のルカ大会(フィンランド)、12月20日のコッパーマウンテン大会(米国)、14年1月19日のストーンハム大会(カナダ)のW杯4大会の成績において、獲得ポイント上位選手から推薦される。例えば、今回の平野はランクBの強化指定選手で優勝したため、7ポイントを獲得した。