ラグビートップリーグが28日、約1カ月ぶりに再開される。前半戦を5位で折り返したヤマハ発動機は、29日に岡山・桃太郎スタジアムで同8位コカ・コーラウエストと対戦する。休止期間中に発表された、来季からの「プロ選手契約廃止」の衝撃も一段落。26日の練習では、全員が明るく激しく、再開戦での勝利に照準を合わせた。今週からチームに復帰したSH矢富勇毅(24)とFB五郎丸歩(23)の日本代表コンビも、そろって今季残り試合での快進撃を誓った。

 「1日でも1試合でも長く、一緒に戦いたい」。そんな全選手・スタッフの魂の叫びが、グラウンドに充満していた。経営不振による活動縮小はショックだが、今季いっぱいは今の体制で最後まで戦える。現在5位。4強が進出するプレーオフに向けて、これ以上の発奮材料はない。練習開始時には、全員が輪になって肩を組み、約1カ月ぶりのリーグ戦での勝利を誓い合った。「このメンバーに残された試合は限られているけれど、最高の結果を残して終わりたい」とケビン・シューラー監督(42)が目を見開いた。

 代表から戻ったプロ契約の2人も、闘志に満ちたチームの雰囲気を歓迎した。自分たちの留守中に起こったチームの激震に「みんなもっと暗いかなと思ったけど、そんなことなくて安心しました。確かに逆境やけど、プロとして見ている人を楽しませるプレーをしますよ」と矢富が約束した。五郎丸も「楽しいですね。このチームメートと練習できるのは幸せです。今後のことはノーコメントですけど、今は目の前の試合だけ考えて頑張ります」と笑顔で話した。

 開幕直後の低迷から完全に立ち直り、上昇ムードで迎えるはずだった今季後半戦直前のプロ廃止宣言。だが、すでに誰もが前向きに現実を直視している。「ラグビー界全体から注目されるのは間違いないですけど、重圧は覚悟の上。グラウンドでは100%集中して楽しんで、日本一を狙える試合をしていきたい」と山村亮主将(28)がきっぱりと話した。数カ月後には去りゆくプロたちも、残ってチームを支えていく社員選手も、目指すのは悲願のリーグ制覇だけ。それぞれが、万感の思いを抱えて臨む“最後の”トップリーグ後半戦が、いよいよ幕を開ける。【大石健司】