野球賭博に関与し、7月に日本相撲協会から解雇された元大関琴光喜関の田宮啓司氏(34)が9日、解雇後初めて公の場に現れた。東京・後楽園ホールで「リアルジャパンプロレス」を観戦。プロレス団体から声を掛けられたことを明かしたが、転向は否定。現在もトレーニングを継続しており、あらためて角界復帰を希望した。

 相撲協会を解雇されて以来、元琴光喜関が初めて、公の場に姿を見せた。リアルジャパンの後楽園ホール大会で、リングサイドの最前列に着席。同じく野球賭博で解雇された元大嶽親方に誘われ、グレーのスーツ姿でリングに目をこらした。タイガーマスクの初代対4代目の試合中に席を立ったが「タイガーマスクを見られて良かった」などと話して、会場を後にした。

 解雇から約5カ月。「(プロレス団体から)声は掛けられたけどね。オレ、痛いのは嫌いだから」と、転向は否定した。一方、相撲界復帰は、あきらめていない。いつでもまげを結えるよう、髪はポニーテールにしてある。トレーニングジムにも通っている。「体重?

 ちょっと太った。165キロまでいった」と話すなど、解雇時より約10キロ増量したことも明かした。

 9月には解雇を不当として、力士としての地位保全を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。あえて退職金も受け取っていない。後援会は解散したが、復帰を願う有志による「琴光喜関を救う会」は先月末、5万8229人の署名が入った嘆願書を相撲協会に提出した。地裁の判断次第では、復帰の道も残されている。

 この日、休憩時間にはプロレスファンからのサインや記念撮影に気軽に応じ、ゲストとして場内放送されると立ち上がって声援に応えた。「もう1回、(土俵に)戻った姿を見せたい。戻れれば最高」と望みを捨てていない姿勢を示した。