公益財団法人に移行した日本相撲協会は1月31日、東京・両国国技館で新法人の理事候補を決める選挙を行い、協会NO・2の事業部長を務める九重親方(元横綱千代の富士)がただ1人、落選した。現職NO・2の落選は異例。新理事は春場所後の3月24日の評議員会を経て決まるが、新体制でも北の湖理事長(元横綱)が続投する見通し。新たな事業部長に貴乃花親方(元横綱)が有力視されていることが分かった。

 新体制の目玉はやはり、この親方になる。春場所後に発足する新理事会で、北の湖理事長の続投が確実な情勢。その上で協会関係者によると、落選した九重親方に代わるNO・2の事業部長に、貴乃花親方を任命する方向で進めているという。事業部長は、04年2月から父二子山親方(元大関貴ノ花)が務め、05年に現職のまま死去した要職。このままいけば父の思いを受け継いで、親子2代で担う形になりそうだ。

 理事候補選挙では、支持を得ているグループの親方衆と時津風一門からの票を加えて、合計9票で当選した。2年前に2期目の当選を果たした際には、理事長の期待を受けて協会NO・3の大阪場所担当部長に抜てきされた。自ら吉本新喜劇に出演するなど、積極的にPRを展開した。八百長問題の不祥事で2年ぶりの開催となった12年は、2年前の大入り8日間を1日増やして、昨年は10日間にまで伸ばした。有力な事業部は、年に3回行われる東京場所の開催などを担う部署。これまでの手腕を、次は東京場所で振るうことになる。

 ただ、新法人への移行によって、今回の選挙で理事就任が決定したわけではない。現段階ではあくまで候補者。春場所までは大阪場所担当部長でもあり、3日には大阪入りする。貴乃花親方は選挙について多くを語らず「(春場所に向けて)やることがたくさんあって、本当に忙しいんです。まずは大阪場所を盛り上げないとね」とだけ話して、国技館を後にした。

 ◆日本相撲協会理事

 公益法人移行後は10人以上15人以内で、このうち年寄=親方は10人以内。外部有識者は現在2人いる。互選で理事長1人を選出。他の理事は兼務を含めて、東京場所管轄の事業、大阪、名古屋、九州の各地方場所、審判、巡業、広報、警備、監察、生活指導、指導普及、教習所、総合企画、危機管理の各部署の部長を務める。任期2年。月給149万8000円。