<東京6大学野球:早大10-5慶大>◇優勝決定戦◇3日◇神宮

 慶大はリーグ戦終盤の4連勝で優勝決定戦に持ち込みながら、力尽きた。斎藤の前に沈黙した。初安打は8回1死から。江藤省三監督(68)がこう口を開いた。「(無安打を)やる方は格好いいけど、慶応ファンもいるからね。踏ん張ってよかった」。

 もうベンチに投手はいなかった。それでも代打を起用した。8回、敵失をきっかけに3点を奪い、なおも一、三塁。投手がスクイズを失敗すると、打席途中で代打を送った。「点を取らなきゃ追いつけないんで」と江藤監督。直後に、伊藤隼太(3年=中京大中京)に三塁打が出て、2点差に迫った。伊藤は「4年生の最後の思いが打たせてくれたとしか思えない」と振り返った。

 しかし守れない。9回のマウンドは一塁手の正木拓也(4年=慶応)だった。押し出しもあって3失点。勝負は決まった。部史上初めてプロ出身監督を迎えた慶大の1年が終わった。「1年間、学生野球をやって、やっと覚えたかな。来年から絶対負けないチームをつくります。まあ見とれよ、のチーム。自信あります」。連覇を逃した江藤監督が言い切った。