練習試合中日対ロッテ 4回表ロッテ2死一、二塁、中前適時打を放つ藤原。投手石川(撮影・清水貴仁)
練習試合中日対ロッテ 4回表ロッテ2死一、二塁、中前適時打を放つ藤原。投手石川(撮影・清水貴仁)

日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(46)が、ロッテのドラフト1位藤原恭大外野手(18=大阪桐蔭)の3安打をチェック。非凡な「実戦力」に着目し、評価した。

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いまさら説明の必要はないが、高校外野手でドラフト1位の評価を受けるだけで大したもの。速い球を投げる投手や、守備力や走力のある内野手と違い、外野手は相当な打撃レベルが求められる。第一印象は「細くて小さいな」で、活躍まで時間がかかりそうだと感じた。しかし実戦を見て評価は変わった。ある程度我慢できるなら、1年目からスタメン起用しても面白いと思えるレベルだった。

3本のヒットの中で「すぐにでもプロでやれるのではないか」と思わせたのは2本目のヒットだ。変化球への対応を頭に入れなければいけないフルカウントで、内角よりの直球に対し、やや差し込まれながら押し込むようなスイングで対応。ゴロでセンター前に抜けていった。金属バットに慣れている高卒ルーキーとは思えない打撃だった。

俊足の左打者は“当て逃げ”するように打ってしまうタイプが多く、そうやって打てばショートゴロで終わっている。さらに打者は差し込まれ気味のタイミングで打ちにいくと、こねるようなスイングになりやすい。金属バットに慣れている高卒ルーキーならなおさらで、そうやって打てばセカンドゴロ。しかし藤原は内側からバットを出し、ヘッドを押し込むように使って中前打にしていた。

フリー打撃では遠くに飛ばそうと力み、まだまだパワーは見劣りすると感じたが、実戦で一変。力みも消え、上半身と下半身のバランスも良くなり、ミート力がアップし、パワー不足を補えていた。スピードだけでなく、走塁面での隙もない。守備力は細かなところまで分からなかったが、多少打てなくなっても我慢できるレベルにありそうだ。

使い続けても体が大きくなるようなタフネスさがあれば、レギュラーで起用しても面白い。ここまで同じ高卒ドラ1のオリックス太田、広島小園を見てきたが、打撃の実戦力はNO・1。実戦力が「器用貧乏」にならないことに注意して、大きく育ってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

中日対ロッテ 8回表ロッテ2死一、二塁、三木の適時打で生還し、ナインとタッチする藤原(左)(撮影・滝沢徹郎)
中日対ロッテ 8回表ロッテ2死一、二塁、三木の適時打で生還し、ナインとタッチする藤原(左)(撮影・滝沢徹郎)