ヤフオクドームで行われる試合には、全チームに共通する注意点がある。とにかく本塁打がよく出る球場で「1発を防ぐ」というより「1発を減らす」という感覚で試合に挑む必要がある。事実、今ステージでも両チーム合わせて初戦が6発で、2戦目が4発。そして本塁打数が少なくした方が勝っている。

両チームとも「1発の減らし方」が分かっているように思えない。確かに球場が狭いだけに、打者のタイミングをずらしても本塁打される確率は高い。しかし、タイミングをずらすにしても、同じ打者や1試合に限定して「泳がせた本塁打」と「詰まらせた本塁打」は、どちらか一方に偏らせる工夫が必要になる。

一番簡単な方法は「厳しい内角攻め」だろう。一流の打者でなくても、この球場では逆方向への本塁打を打てる。外角球の安全性が低いのだから、1発の可能性が高くなる内角を厳しく攻めなければいけない。特に好打者には必要な攻めで、初回の柳田、3回の浅村は外角球をうまく合わされ、3回のデスパイネは内角球を詰まらせながらテラス席まで運ばれている。厳しい内角攻めが1球もないのだから、好打者は抑えられない。考えて配球していたのは後半にマスクをかぶった高谷ぐらいだった。

初戦も2戦目も、勝敗を予想しにくかった。それは根拠を持った戦術がないからで、たまたま本塁打が少なかった方が勝ったような印象が残る。これはバッテリーの投球と配球に問題があるだけではない。両チームとも送りバントが多いが、送りバントが得点に絡んだのは2試合計の18得点で1点もなし。本塁打以外の得点も6点だけで、総得点の半分にも満たない。

これで1勝1敗。勝負を分ける3戦目を迎える。本塁打を減らす努力をしたチームが、ファイナルステージに進むだろう。(日刊スポーツ評論家)