日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(49)が、8日のDeNA紅白戦をチェックした。

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紅白戦だからこそ、できる練習がある。1軍(白)が0-1で迎えた2回1死一、三塁の守備。前進守備を敷かず、二ゴロの間に追加点を与えた。そして2軍(紅)が2点リードの6回1死三塁の守りでも、内野陣は定位置。遊ゴロで1点差に追い上げられた。

シーズン中に前進守備を敷かなければならない局面は必ず訪れる。もちろんケース打撃などで練習はできるが、やはり試合とは緊張感も異なる。前述の2ケースは、その絶好の練習機会だった。たとえ前に出た内野の間を抜かれる適時打を許したとしても、これは「1点を防ぐ」という明確な目的を持ったトライの結果だ。2月上旬と時期としては早いかもしれないが、紅白戦からチームとして、こういった準備が必要だと思っている。

チームだけでなく、当然、選手個人のシーズンに向けた準備は始まっている。1回、1軍チームは無死二塁から、簡単に三盗を許し、ここから先制された。この三盗は明らかに捕手戸柱の油断によるもの。二走の関根が投手のモーションからタイミングを計っていると感じることができたはず。隙が失点を招いた。

1点も与えられないギリギリの状況をいかに乗り切るか。これができなければ、ペナントレースを勝ち抜けない。DeNAは今シーズン、主砲筒香が抜けた約80打点分をいかに補えるかが重要になる。これは逆に、その80点の失点を防げれば、補えるとも言える。極端な例えではあるが、その意味でも1点の重みが増す今季。チームとして「1点への意識」をより持ってもらいたい。

この日の紅白戦では、ドラ1の森が安打を放ち、同じ高卒のドラ4捕手、東妻も伸びしろを感じさせるプレーをみせていた。この2選手だけでなく、出場した選手たちは、ポジション争いに挑まないといけないメンバー。内容と結果の両方を示さなければならない中での若手たちの競争が、チーム力の底上げにつながるはずだ。(日刊スポーツ評論家)

白組対紅組 6回裏白組無死一塁、DeNA神里(右)の盗塁を許すも、アウトをアピールする森(撮影・大野祥一)
白組対紅組 6回裏白組無死一塁、DeNA神里(右)の盗塁を許すも、アウトをアピールする森(撮影・大野祥一)