ヤクルト対中日 6回裏ヤクルト1死二塁、投手交代を告げる中日与田監督(撮影・垰建太)
ヤクルト対中日 6回裏ヤクルト1死二塁、投手交代を告げる中日与田監督(撮影・垰建太)

野球は局面では1球で優位にも立てるし、不利にも追い込まれる。中日は1球の持つ意味を考えてほしい場面が攻守に目立った。

1点リードの4回2死一、二塁で打者京田。ヤクルト小川の初球、外角低めに沈むチェンジアップを直球狙いのスイングで空振りした。相手バッテリーの立場になって考える。前の打者が四球だからストライクを直球で取りに行くのは安直すぎる。空振りかファウルを取るために落ち球か内角へのカットボール、スライダーをボール気味に投げさせる、と考えるのが自然だ。冷静に整理すれば、初球は見逃せた。

初球ボールなら展開が変わってくる。バッテリーは平行カウントにしようとストライクゾーンを狙う。私なら対京田はそれでもゴロを打たそうと、もう1球外に落とすが、それも見極めれば2ボール。打てるボールの確率がどんどん上がってくる。結果的にヤクルトバッテリーが無意味に1球外してカウント1-1となったが、甘い外角直球を打ち損じ左飛に終わった。

守備では6回無死一塁。1点を追う左打者の坂口は走者を進め、ヒットを打つ確率が高い一、二塁間に引っ張りにかかる。バッテリーはそうさせないように2球連続で外角への速い球で追い込んだ。だが3球目は内角へのスライダーを要求。空振りを奪おうとしたのだろうが、確率は高くないし、ファウルを打たせても2ストライクでは意味がない。抜けて外角へ甘く入り、一、二塁間を破られてビッグイニングにつながってしまった。

中日は首位巨人と唯一、7勝7敗1分けの五分で戦っているチーム。巨人としても嫌な意識を持っているはずだ。冷静に状況判断できれば、1ランク上の野球ができて、さらに嫌がられるチームになれる。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対中日 6回途中で降板する中日先発のロドリゲス(中央)(撮影・丹羽敏通)
ヤクルト対中日 6回途中で降板する中日先発のロドリゲス(中央)(撮影・丹羽敏通)