今年のエンゼルス大谷翔平投手(26)の打撃を見てみたが、1割台の打率に表れている通り、内容がよくない。今日の試合、内角高めの直球を逆方向のレフト前にヒットした打撃は良かったが、ボールの見逃し方が悪い。打ちにいく中で見逃すとき、右肩が入りすぎている。これだと速い真っすぐに差し込まれやすくなるし、インパクト時に球との距離が取れないため、バットのヘッドをこねるような使い方になってしまう。

試合前のフリー打撃は個人個人で違うし、その時の状態によっても変わってくる。私の場合、若い頃はガムシャラに打っていただけだったが、年齢を重ねるごとにセンターから逆方向に打つようになった。試合になるとどうしても力が入り過ぎてしまうので、フリー打撃では球を引きつけ、窮屈な形で逆方向に打てるように矯正した。試合とフリー打撃で正反対の打撃をすることで、強引になり過ぎないように心掛けていた。

今季の大谷は、試合前のフリー打撃で引っ張りが多くなっていると聞いたが、これは強い打球を打ちたいからだろう。しかし試合での打撃を見ると、かかと体重になって球との距離が取れていない。これを矯正するなら、フリー打撃では逆方向に打つか、イチローのように引っ張っても打球が上がるような打撃を試してみるといい。逆方向に打つのと、引っ張って打球を上げるためには、バットのヘッドを内側から出していかないといけない。どちらが合うかは人によって違う。自分に合ったフリー打撃の方法を早く見つけ、復調してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)