2回以降は立ち直った投手・大谷翔平。日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏(53)は、投球の変化に「手首の角度」を挙げた。

先発投手を務めながら2番で出場し、2安打2打点3得点の活躍。大谷特有の投球フォームとともに「次元が違う」と評した。

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正直、レンジャーズ戦の大谷のピッチングは評論するのが「難しいな」と感じる投球だった。1回は本塁打と3四死球などで4失点。ただ2回以降は1安打8奪三振と立ち直り1072日のぶりの勝利を挙げた。

2回以降、何が変わったのか。私が感じたのはリリース時の「手首の角度」だった。1回は右手首が寝てしまって、横振りのような形に見えたが、3回からは手首が立ったように映った。スプリットが真っすぐに落ち始めたのが、その証しだろう。

阪神藤浪もその傾向が出る時があるが、投手はスライダーなど変化球を大きく曲げようと意識しすぎると、手首が寝る場合がある。2回の最後の打者をスプリットで空を切らせて感覚をつかんだのか、手首が立ち、リリース時のインパクトが強くなったことで真っすぐも威力が増した。

前回登板(20日レンジャーズ戦)では、踏み出した左足が着地後に動きすぎることを指摘した。今回の登板でも大きく変わらなかったが、あの体の回転力で、あれだけのボールを投げるパワーを受け止めるには必要な動きで、左膝への負担を軽減するすべなのではないかと思い直した。「普通じゃない」出力を持ち、それをコントロールする方法も規格外なのではないか。

大谷自身は制球力を「5点」と自己採点したが、現状の投球では荒れ球は武器といえる。メジャーの打者も恐怖心からなかなか踏み込めず、ストライクゾーンで勝負さえできれば抑えられる。過去にも言ったがダルビッシュ、大谷はメジャーでも「力対力」の勝負ができる投手。荒れ球も現状のスタイルでいいだろう。

理想をいえば、体重移動時に軸足となる右足にもうひとタメ欲しいところ。フィニッシュの後に右肩が前に出て、つんのめってるような感じが消えれば、もう少し安定する。とにかく、プレーも結果も「次元が違う」。心配なのは体調面だけで、首脳陣がいかに負担を減らす起用をするかが、今後の二刀流のカギを握る。(日刊スポーツ評論家)

2回、2点適時打を放つ大谷(ロイター)
2回、2点適時打を放つ大谷(ロイター)