新外国人が互いに1軍に合流し、開幕前に思い描いていた本来のチームになりつつあるヤクルト-巨人。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏が両チームの助っ人の動きをチェックした。


開幕からなかなか調子の上がらない巨人だが、今試合から待望の2人の新外国人が合流した。一方のヤクルトは、ひと足先に2人の新外国人が出場を続けている。両チームとも本拠地がホームランが出やすいだけに、新助っ人の優劣が今後のチーム浮上への大きなカギを握ると思っていた。

まず、そこそこやりそうな予感がしたのが、巨人のスモークとヤクルトのオスナだろう。スモークは左投げのスイッチヒッターで、珍しいタイプ。最初の3打席は右打席だったが、左利きだけに後ろ側の腕で押し込むようなスイングではない。右投げ左打ちのようなスイングで、広角には打てそうだが1発があるようなタイプではなさそうだった。それでも7回無死一塁からの4打席目は、右の清水に対して左打席でフェンス直撃の痛烈なシングルヒット。左打席では後ろ側にある利き手の左腕で押し込める迫力があった。

すでにデビューしているオスナは、この試合前まで1本塁打を含む11打数5安打。外国人選手には珍しく、極端なオープンスタンス。それほど踏み込んで打ちにいくような打撃ではなく、内角のストライクゾーンが広い日本向きのスタイル。これだけオープンに構えれば、外角のボールゾーンに落ちる変化球にはバットが止まりそう。メジャーではそれほど本塁打を量産するタイプではなかったが、狭い神宮で本塁打も期待できると思う。

巨人のテームズは守備で右足を痛め、2打席で途中交代。追い込まれるまでは外角の変化球に手を出さなかったが、2打席目は外角のスライダーで空振り三振。打撃はまだ分からないが、守備力はかなりの低レベル。この守備力なら、相当打たないと厳しい。

しかし、代わって出場したウィーラーは絶好調をキープ。7回無死二、三塁、カウント1-1から内角の真っすぐを逆方向におっつけ気味にライト前へタイムリー。9回無死からも1ボールからの外角の真っすぐを見逃し。ストライクではあったが、出塁を考えたのだろう。そして2-1から高めのボール気味の真っすぐをバックスクリーンへ決勝ホームラン。日本野球を熟知した内容で、テームズの欠場はチームのプラスに働く可能性が高い。

ヤクルトのサンタナは1発はありそうだが、今の段階では打率は期待薄に感じた。スイング時に右肘が体の前に入ってこないため、内角球に苦しみそう。こちらも守備が悪そうで、相当打たないと厳しいタイプだと感じられた。

今季は新外国人の見極めが重要。我慢しすぎると致命傷につながりかねない。新外国人のプレーから目を離せない日が、しばらくは続きそうだ。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対巨人 7回表巨人無死一塁、右前打を放つスモーク(撮影・野上伸悟)
ヤクルト対巨人 7回表巨人無死一塁、右前打を放つスモーク(撮影・野上伸悟)
4月25日の中日戦の4回裏にヤクルト・オスナは中越え本塁打を放つ
4月25日の中日戦の4回裏にヤクルト・オスナは中越え本塁打を放つ