阪神藤浪晋太郎投手(27)の2軍中日戦を視察した。結論から言えば「何でファームで投げているの?」だ。それくらいしっかり投げ込んでいた。

ノーワインドアップにも取り組んだそうだが、このフォームにもまったく違和感がない。1回から3回までは球威も含めてほぼ満点。むしろぎこちなさが消えて、テンポのよさも引き出していた。

4回にストレートがひっかかり始め、2四球から適時打を許した。これはクイックした際に右足への体重の乗りが悪くなって右打者の遠く、低く外れてしまうわけだが、修正可能の範囲だろう。実際、5回のマウンドではなんとか修正していた。

フォークも全体的にやや抜け気味だったが、ストレートの抜け球はほぼなかった。投球の軸となるストレートが上下に外れる分にはまったく問題はない。右打者の外角低めと内角高めの対角線上で暴れ出すとさすがに厳しいが、このレベルなら問題ないだろう。

もともと次元の高い投手で、2軍で投げてもさしたる意味はないと言い続けてきたが、この試合を見てそれを再確認できた。1軍のゲームとなればより集中力も高まるはずで、後はいかに気持ちよくマウンドに送り出すかどうか。少々の荒れ球は打者にとっては脅威で藤浪にとっては最大の武器。自信を持ってマウンドに上がって欲しい。(日刊スポーツ評論家)

ウエスタンリーグ中日対阪神 1回裏、登板する阪神先発の藤浪(撮影・森本幸一)
ウエスタンリーグ中日対阪神 1回裏、登板する阪神先発の藤浪(撮影・森本幸一)
ウエスタンリーグ中日対阪神 1回裏、登板する阪神先発の藤浪(撮影・森本幸一)
ウエスタンリーグ中日対阪神 1回裏、登板する阪神先発の藤浪(撮影・森本幸一)