高卒2年目の阪神西純矢投手が、デビュー戦を白星で飾った。まだ19歳とはいえ、1軍の試合は結果が求められるマウンドで、先発した5イニングをノーヒットピッチング。上々のスタートを切った。

立ち上がりは、かなり緊張しているように見えた。先頭打者の山崎に四球を与えると、続く中村にも連続四球。投球内容を見ても、12球中で変化球は1球だけ。真っすぐでストライクが取れず、見ているだけでも苦しく感じる内容だった。しかし3番の山田がカウント3-1から外角高めの真っすぐを打ち損じてセカンドフライ。後続も打ち取り、無失点に切り抜けられた。

2回も先頭打者に四球を出したが、サンタナが初球を打ってセカンドゲッツー。これで落ち着いたのか、徐々に良くなり、4回以降は変化球でもストライクが取れるようになった。本来のピッチングができるようになった。

2軍でしっかり準備をしてきたのだろう。ヤクルト打線の拙攻に助けられたとはいえ無安打で、内容もイニングを重ねるごとに良くなった。これなら次回の登板は、ノーヒットピッチング以上の結果にならないとしても期待できる。

今後の成長を期待して、ひとつ課題点を挙げておきたい。87球を投げたうち、空振りは5回2死から8番の元山の1回だけ。カウント1-1からのフォークで、変化球で奪っただけだった。投球フォームを見てみると、足を上げたあと、横を向いたお尻が一塁側に流れるように開いて回転していた。このお尻の向きが捕手側に向かっていくようになれば、体の開きが抑えられる。真っすぐにしてもフォークにしても、体の開きが早いと抜けた球が多くなる。この部分が改善されれば、抜け球は減るし、打者がスピード感を感じるような真っすぐが投げられるようになると思う。

この時期の選手は、すべてが勉強になる。フォームを改善したと思っても、他の部分が悪くなったり、試行錯誤を繰り返すこともあるだろう。ただし大事なのは、人の意見を聞いて参考にしても、自分でしっかりと考えて練習をすること。今日はやや運にも恵まれた感があるが、そうやって階段を上っていけば、結果は着実についてくる。今後の飛躍を期待したい。(日刊スポーツ評論家)

阪神対ヤクルト 5回表ヤクルト1死、西純(右)はサンタナを三ゴロに仕留め三塁手佐藤輝に笑顔を見せる(撮影・上山淳一)
阪神対ヤクルト 5回表ヤクルト1死、西純(右)はサンタナを三ゴロに仕留め三塁手佐藤輝に笑顔を見せる(撮影・上山淳一)