オリックス対巨人 7回表巨人無死、宮城はウィーラーを見逃し三振に仕留める(撮影・上山淳一)
オリックス対巨人 7回表巨人無死、宮城はウィーラーを見逃し三振に仕留める(撮影・上山淳一)

オリックス宮城大弥投手(19)が7回13奪三振の快投で、チーム最多の6勝目を挙げた。「日本生命セ・パ交流戦」は初顔合わせの巨人打線を7回2死まで無安打無得点に封じた。

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一般的に言って、左投手は対角線への投球として右打者の内角がポイントとなる。そのイメージをオリックス宮城-伏見のバッテリーは見事に逆手に取った。立ち上がりから内角にもストレートは使うが、ほとんどがボール球。この試合でストライクゾーンに使ったのは6回1死、巨人炭谷へのカウント1-2からの4球目が初めてだった。

初回ウィーラー、4回岡本和ら、ポイントとなる打者にはいずれもボールだが内角ストレートを見せており、巨人打線はこのボールへのイメージを消せなかった。

さらに伏見の状況判断の良さも光った。6回の炭谷は、初球スライダーを引っ張っていい当たりのファウル。変化球への意識が高いスイング。2球目スライダーは右方向へのファウルで変化球へのミートポイントを合わせてきた。そこで3球目チェンジアップを低めへのボール球でさらに変化球への意識を高めさせ、4球目は内角ストレートで見逃し三振。見事な配球だった。

7回、岡本に内角ストレートを左翼に運ばれた。これが初安打となったが、むしろそれまでのバッテリーの配球が正しかったと言える1発だった。バッテリーは狙い通りに抑えるうちに、特に捕手の頭にはシフトチェンジがよぎってくる。抑えているからこそ組み立てを変えないで終盤も勝負をするか、もしくはそろそろ狙われるだろうから配球を変える、こういう思考になる。6回以降は内角ストレートをゾーンに使う頻度が高くなったのは、そういう背景で、もっと早く変えていれば捕まっていた可能性も否定できない。

宮城の全99球のうち、ストライクの内角ストレートは4球。わずか4%のこのボールを巨人打線は狙わされ、逆に宮城-伏見バッテリーはそう仕向けた。内角ストレートを「投げるぞ、投げるぞ」と感じずにはいられない、そんな幻影を追わせる快投だった。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対巨人 オリックス先発の宮城(撮影・狩俣裕三)
オリックス対巨人 オリックス先発の宮城(撮影・狩俣裕三)