阪神が勝負をかけた外国人クリーンアップは大量に助っ人を抱えるチームの強みだが勝ちにはつながらなかった。

梨田 負けるにしてもいやなやられ方だ。逆に下位チームは捨て身で攻めてくる。地元に戻ってのカード初戦にもっとも計算ができるはずの青柳が持ち前の低めの球に威力を欠き、自分が思ったところに投げ切れず、簡単に打たれた。記録に表れないミスも重なって重苦しかった。明るい材料のマルテだが、わたしに言わせれば上に上げるのが遅かった。

後半戦からリリーフに配置転換したアルカンタラは前日30日に2軍降格。1軍昇格のマルテを「3番三塁」で先発起用した。4番サンズ、5番ロハスは無安打だったが、マルテは5回に同点の3点二塁打で気を吐いた。

梨田 チーム事情はわからないが、もっと早くマルテを1軍に上げられなかったのだろうか。確かに、ようやくロハスが慣れだしていたし、アルカンタラもそれなりに投げてはいた。アルカンタラの投球をみれば懸案の「7回」を任せるのは難しいという判断は早くに下せたはずだ。本来は投手を優先したいが、チームの現状をみたとき「野手3人制」をとるべきと前々から指摘していた。そしてアルカンタラを先発要員のスペアとし、うまく入れ替えながら回してもよかった。その間マルテに寝違えが生じたようだが、最大8人の外国人体制をとるチームだけに有効活用したいところだ。

同点で「7回」を託した及川が3戦連続の失点で崩れた。岩崎、スアレスの2人がそろい踏みした勝ちパターンの逃げ切りは、後半戦に入って2試合にとどまっている。

梨田 中日の狙い打ちにあった及川だが、この時期にきて、7回を投げる人材に決め手がないのは苦しい。当然のことだが巨人戦を前に負け越すわけにはいかない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

中日に敗れ、ファンにあいさつする矢野監督(左)ら阪神の選手たち(撮影・清水貴仁)
中日に敗れ、ファンにあいさつする矢野監督(左)ら阪神の選手たち(撮影・清水貴仁)