首位を狙うヤクルトと巨人の対戦は、どちらにとっても悔しい引き分けに終わった。それでもどちらのチームが「助かった引き分けか?」と聞かれれば巨人だと即答できる。3番の坂本の調子が上がっているが、その他の選手は投打にわたって“いまひとつ”の状態。「よくぞ引き分けた」という試合だった。

巨人が巻き返すために重要なのは、誰が復調するかを見極める「判断」だろう。この試合のスタメンオーダーを見ても、6番以降の打者は打てそうな気配がしない。その中でも特に打てそうにないのが、7番で起用している新外国人のハイネマンだろう。もちろん、途中入団で日本の野球に慣れていない事情もあるが、打撃フォームや打撃の特性を考えても、今後、急激に良くなるような要素は見当たらなかった。

まず、クローズ気味に構え、そこからさらに踏み込んで打ちにいくスタイル。外角のゾーンが広いメジャーでは多いが、内角攻めが多い日本球界では向かないタイプ。しかも外国人にしては小柄でパワーヒッターでもなく、バットに当たっても長打が期待できない。第1打席は内角の真っすぐに差し込まれてセカンドへのハーフライナー。第3打席もやや内角寄りの高めの真っすぐに詰まってショートフライ。踏み込んで打つからボールとの距離が取れないし、それを補って打球を押し込むパワーがないのも明らかだった。

個人的にはシーズン途中で新外国人を獲得するべきではないと思う。投手ならいいが、打者はある程度の時間が必要で、獲得するなら日本野球の経験がある方がいい。特に大柄のパワーヒッターでなければ、日本で成功する確率は低い。ハイネマンはどのタイプにも属さない打者だろう。

ハイネマンをスタメン起用するぐらいなら、若林の方がいいし、チームの起爆剤としての期待を込めて八百板や、ウィーラーの左翼起用の方がいい。実績のある丸の復調を待つ手もあるだろう。いずれにせよ、苦しい戦いにはなるが、少しでも上がり目がある選手を起用し、我慢するしかない。(日刊スポーツ評論家)