阪神がからくも、優勝争いに踏みとどまった。負けると残り12試合で首位ヤクルトに4ゲーム差。逆転優勝はほぼ絶望的になっていただろう。攻撃陣が低調な中で先発秋山は懸命に粘ったし、途中出場の島田もよく決めた。白星の結果だけが求められるV争いの佳境で、よく白星をつかんだ。

7回表に1点を勝ち越し、どんな継投に出るのかが一番の注目だったが、岩崎とスアレスの2人で3回を投げ切らせた。負けが許されない阪神にとって大正解だ。7日のDeNA戦は連投だった岩崎を温存し、8回に及川がソトに逆転2ランを浴びて痛恨の1敗を喫した。このような負けは、優勝のために必死に腕を振ってきた岩崎本人にも悔いが残る。泣いても笑っても、あと12試合で勝者と敗者が決まる。疲れていますと言う選手はいない。今後もイニングまたぎや長期の連投は当然で、岩崎やスアレスも望むところだろう。

もちろん反省すべきは反省しないといけない。2回の守備では左翼のロハスがサンタナのポテンヒットで一塁走者の中村を三進させた。後ろに下がった分、中村につけ入る隙を与えた。前に出てショートバウンド気味に抑えにいって、一塁走者は二塁で止めないといけない。秋山が踏ん張って失点にはならなかったが、打線が低調なだけに今は攻守ともに1点の攻防が重い。さらにこの先は、より1球、一投、一打が勝負を分ける重みを増す。4回無死一、二塁でバント失敗した小野寺もしっかり練習から準備ができていたのか。追加点を奪えず苦しい展開になった一因だけに、しっかり引き締めてもらいたい。

2ゲーム差に縮めたとはいえ、タイガースの不利は変わらない。引き分けはヤクルトが9個多く、残り試合数もヤクルトが3つ多い関係で、実質は3・5ゲーム差か4ゲーム差の開きがある。優勝ラインを見れば分かるが、この先ヤクルトが勝率5割前後でいくと仮定すると、阪神は2、3敗できるかどうかだ。負けられない戦いは続く。でも、可能性はまだある。そのためにも明日なき戦い方で、何としても10日も勝つことだ。(日刊スポーツ評論家)

8回裏ヤクルト1死、スアレスに代わって降板した岩崎はナインとタッチする(撮影・加藤哉)
8回裏ヤクルト1死、スアレスに代わって降板した岩崎はナインとタッチする(撮影・加藤哉)