チャンスらしいチャンスが作れない状況で、7回の阪神の攻撃が気になった。2死一、三塁で8番坂本が同点タイムリーを放った。打った打者はほめられるべきだが、ベンチワークとしては、この場面、代打で勝負をかけるところではないか。近本が負傷し、さらに得点能力は落ちている。打順は8番。数少ない好機で、糸井、原口を次々と代打で出していくべきだ。糸井が四球で歩かされたら、原口のヒット1本で2点入る。残り試合もわずか。今後の短期決戦を考えても、攻めの仕掛けで勝ち越しを狙わなければならない。

この試合では、代打起用は、投手の9番の打席だけ。ベンチに野手を余らせている余裕はないはずだ。選手にはそれぞれ役割があり、7回のような場面で切り札を投入してこそ、全員野球、総力戦による勢いが生まれる。近本は24日に出られる見通しがあるなら、我慢するのも分かるが、今の時期に使えない選手をベンチに置いても仕方がない。フェニックスリーグでプレーしているサンズら宮崎組を呼んで、とにかく状態のいい選手で戦っていく必要がある。

引き分けにもっていけたのは、投手陣の踏ん張りによるところが大きい。こと投手起用に関しては、早めの継投など積極的な仕掛けがみられる。打者に関しても使い切るぐらいの姿勢がほしい。

ヤクルトは引き分けを挟んで3連敗で、勝ち続けた時からの反動がきている。阪神は残り2試合で、伊藤将、青柳と計算できる投手が先発する。連戦ではないため、リリーフ陣も惜しみなくつぎ込める。阪神側からみれば、優勝の可能性は4分6分のところまできた。CS進出チームが確定したことで、巨人、広島がどう戦いに切り替えるかも注目だ。阪神にすれば、総力戦で残り2試合を勝ちきりたい。(日刊スポーツ評論家)