阪神はスアレスが抜けた穴が大きすぎる。在籍2年で113試合に登板して67セーブ。だれもが2年連続タイトルホルダーの流出は痛いと思うだろうが、沖縄キャンプに足を運んでみると余計に“スアレスロス”を感じてしまう。

勝ちパターンの再構築が必須だが、スアレスの後釜を含めてリリーフのできる人材を発掘するのは急務といえる。そういう視点でこの日のブルペンを見渡し、特に新戦力の中でもドラフト2位左腕の鈴木勇斗投手をチェックしたかった。

ブルペンでカーブを投げる鈴木(撮影・上山淳一)
ブルペンでカーブを投げる鈴木(撮影・上山淳一)

各球団とも新型コロナ対策を徹底し、以前のようにブルペン捕手の真後ろから投球を見ることはできない。それでもルールに沿って、私ができるだけ受け手の近くに陣取ったのは、キャッチャーの捕球音を感じたかったからだった。

鈴木の投球を見ながらキャッチングの音に耳をそばだてたが、どうも音が鈍い。それはボールの球筋が安定した回転をしていない証拠だろう。わたし自身が捕手出身だから感じるのかもしれないが、若干の物足りなさを感じた。

鈴木と同じ左で注目したドラフト3位の桐敷拓馬投手はノースローだったが、矢野監督はどちらかでも新しい芽が出てきてほしいと思っているだろう。及川が先発に転向する分、左腕の救援は岩崎と岩貞だけ。絶対にそろえないといけない。

ブルペンで投球する鈴木(手前)を見る矢野監督(撮影・上山淳一)
ブルペンで投球する鈴木(手前)を見る矢野監督(撮影・上山淳一)

カイル・ケラー投手が抑え候補のようだが、アーロン・ウィルカーソン投手とともに実際見ないことには判断がつかない。フリー打撃に登板した秋山、ブルペンで投げた西勇、青柳ら先発の顔ぶれはそろうだけに、シーズンの行方を大きく左右するリリーフ力アップは絶対条件といえるだろう。(日刊スポーツ評論家)