赤星のデビュー戦は安定感のある立ち上がりだった。ストレート、変化球どれでもストライクが取れ、コントロールもいい。投げてみないと分からないタイプではない。ある程度計算ができる。捕手の立場からすればリードしやすい投手の部類に入る。

今後に向けた具体的かつピンポイントの懸念事項を指摘しておく。初回、1死から岡林に二塁打を打たれ走者二塁。ここから3番鵜飼、4番ビシエドへの攻め方を集中して見ていたが、大城のサインの出し方が極めてシンプルだった。

初見の私が見て、100%球種が分かった。もう少し、フェイクを交えつつ、一定のテンポで5個以上のサインを出すべきだと感じた。二塁走者から打者にサインの伝達などはしていないが、二塁走者からは捕手のサインが見える。それは他の投手でも同じ条件だが、あまりにも単純なサインだと、次の球種が二塁走者に分かってしまう。与えなくてもいい情報を簡単に与えている。

次の球種が分かれば、二塁走者はリードを取る上でかなりのアドバンテージになる。例えば、次がカーブなら、盗塁の可能性も生まれるし、リードもより広くとれる。フォークならばワンバウンドや、捕手がはじく可能性が高くなる。そうなると、やはり三塁に進むスキが生まれる。

さらに、これが一番重要だが、二塁走者がスタートを切るタイミングが、コンマ数秒程度速くなる。二塁走者からすれば、三塁で止まるか、ホームにかえれるか、ギリギリの走塁が求められる中で、かなりの判断材料になる。

私の現役時代はケースにもよるが、多い時でおよそ2秒弱の間に、フェイクをまぜながら5個以上のサインを出していた。投手に合わせてやり方は多少変えていた。赤星-大城もよく話し合い、与えなくてすむ情報は極力与えない工夫が必要だと感じた。

赤星は6回1失点も、チームは逆転負けで白星はつかなかった。落ち着いた投球内容を見せていただけに惜しいデビュー戦だった。今後も先発するチャンスはあるだろう。早い段階で初歩的な課題は手当てをした方が、赤星にとっても、チームにとってもプラスになる。(日刊スポーツ評論家)