日本ハム先発の上沢直之投手(28)はシーズン序盤に調子の悪い時期があったが、フォームの修正がうまくいって、本来のストレートの強さを取り戻した。開幕当初は体から腕が離れて、少し抜けるボールが目立っていた。それが体に近いところに腕を通せるようになり、上沢特有のスピンの効いた縦回転のボールを投げられるようになった。おそらく軸足の体重の乗せ方を修正したのだろう。いずれにしろ100%の状態ではないが、上沢レベルの投手になると80%ぐらいでもゲームを作っていける。まだまだこれから良くなっていくだろうし、交流戦の前にある程度、状態を戻せたのはチームにとっても大きい。

打線はこのところ野村や万波ら若手の打席内でのアプローチがよくなっている。まだまだこれからの選手で技術的にも伸ばしていかないといけないところはあるが、打席の中での考え方がいい結果に結びついている。追い込まれるまでは打つポイントを前にして、ある程度長打も意識してバットを振るが、追い込まれてからはポイントを近くにして、相手投手が仕留めるために投げてきた変化球にも対応できるようになってきた。そのため、センターや反対方向の打球が増えてきた。万波の7回のタイムリーも真っすぐを強引に振りにいかず、反対方向に打ち返した。こういう打撃が万波や野村に備わりつつある。顔面に死球を受けた野村も反対方向の打撃ができており、反対方向に打てているということは、体が開いていないということで、それは死球をこわがっていないという証拠。野村の気持ちの強さを感じる。

この日の勝利でチームは直近8試合で7勝。好調の要因は何と言っても先発投手の頑張りだろう。上沢が復調し、伊藤が安定した投球ができているのも大きいが、プラス週初めの火曜日に先発する加藤がある程度長いイニングを投げられているのもポイントだ。そのため上沢、伊藤を週末の同じカードで先発起用が可能となった。打撃陣の奮起次第で借金を短期間で返せる可能性もある。チームとしての戦い方が確立されてきただけに、交流戦も楽しみになってきた。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対西武 7回表西武2死三塁、川越を右飛に抑えグラブをたたく上沢(撮影・黒川智章)
日本ハム対西武 7回表西武2死三塁、川越を右飛に抑えグラブをたたく上沢(撮影・黒川智章)
日本ハム対西武 通算800試合登板の記念ボードを手に笑顔の宮西(左)と上沢(撮影・黒川智章)
日本ハム対西武 通算800試合登板の記念ボードを手に笑顔の宮西(左)と上沢(撮影・黒川智章)