阪神がDeNAの9連勝を阻止した。2戦連続完封負けを喫していた打線が初回、押し出し四球で20イニングぶりに得点。3回にも3得点してゲームを優位に進めた。投げては西純矢投手(20)が6回無失点で5勝目。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)は初回の2四球、坂本誠志郎捕手(28)の裏をかいた配球を勝利のポイントにあげた。【聞き手=佐井陽介】

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初回にもぎ取った2つの四球が、重たいムードを吹き飛ばしましたね。まずは1回2死二、三塁、5番大山選手が2ストライクから外角低め変化球を我慢し続けて歩きます。2死満塁となり、今度は6番ロハス選手も2ストライクから粘った末に押し出し四球をゲット。この20イニングぶりの得点で、4番佐藤輝明選手とチームはだいぶ救われたはずです。

直前の1回1死二、三塁、佐藤選手は三飛に倒れています。外野フライどころか内野ゴロでも先制点を取れた場面で、痛恨の凡打。このまま無得点に終わっていれば、2試合連続完封負けを喫した前夜からの流れを引きずってしまいかねない展開でした。初回に1点が入ったことで、打線は「なんとかつないで1点」という重圧から解き放たれ、思い切りが生まれました。3回の3得点も、初回の1得点がなければ存在しなかったかもしれません。

一方、西純矢投手を6回無失点に導いた坂本捕手のリードもさすがでした。2人は前回18日ヤクルト戦でもバッテリーを組み、5回2失点でチームの9連敗を阻止。この試合で注目を集めたのが、ピンチを迎えた5回、1番塩見選手を内角直球で抑え込んだ場面でした。当然、DeNA側は前回の組み立てをチェックした上で、打開策を練ってきます。この対策をうまく利用したところに、配球の妙を感じました。

前回の傾向を研究したからか、DeNA打線は立ち上がりからどんどん真っすぐを振ってきました。それに対し、序盤は前回よりもフォークを多投。相手がフォークを意識し始めたらスライダーを使い始め、5回ぐらいからは直球を増やした印象です。狙い球、打ち気の変化を感じ取りながらのリード、配球の意図をきっちりと理解した上での投球。2人の共同作業がDeNAの9連勝を阻止したと表現しても、決して過言ではない気がします。