オリックス宮城の立ち上がりは決して良くなかった。テイクバックから体重移動して投げようとする時に、上体が前かがみに倒れすぎていた。いつもより腕が横振りになる。こうなると得意とするクロスファイアは、横振りの分、ストライク軌道が外れてボールになりやすくなる。際どい球をストライクに取ってもらえなかったのも、この投球では仕方がない。

得意とする対角線の投球が決まらず、苦しい投球が続いた。3回1死一塁でソフトバンク柳田に対し、内角直球を投じようとしたが、引っかけ気味になり、右翼線の適時二塁打を浴びた。ズルズルと崩れるかに見えた。

だが次打者のデスパイネに2-1から投げた内角直球がハマった。前かがみになりすぎず、バランスよく投げたクロスファイアで見逃しを奪うと、一気に軌道修正へ、投げ方のポイントを見つけたと思う。5番今宮から4連続三振と波に乗った。

同点の5回2死二塁で適時打を許した柳田を迎えた。一塁が空いており、歩かせたくなる状況だ。だが前打席から投球内容は一変しており、勝負に行けると感じた。初球は内角を突くボール球で揺さぶり、3球連続で外角低めに変化球を集めて空振り三振で切り抜けた。さすが去年、今年と勝ち星を稼いだ投手という立ち直りだった。

宮城は復調していたが、6回から継投に入った。宇田川、山崎颯、ワゲスパックといずれも155キロ超の速球を誇る。守護神となった阿部は球速では及ばないが、フォークには自信があるのだろう。「リリーフの玉手箱」のようなオリックスの救援陣が小刻みにつなぐと、そう簡単には打たれない。逆に3敗となったソフトバンクは失点しないことを強く意識しないと、なかなか勝機は訪れない。(日刊スポーツ評論家)