何とも言えない試合になった。

勝つか引き分けるかで交流戦の優勝が決まるDeNAだったが、3-4で日本ハムに惜敗。1点差の敗戦なら、得失点率差で優勝が濃厚だけに「よかった」とも言えるのだろう。しかし今後、ペナントレースでの優勝を考えた場合の“宿題”は、山積みだった。

シーズン通しての戦いと考えれば、まだまだ先は長い。特にDeNAにとっては、交流戦明けの最初のカードが首位の阪神。そういう中で、中5日になる今永を温存しリリーフの上茶谷を先発させた。目先の交流戦の初優勝より、もっと大きな目標に照準を定めた三浦監督の戦略には大賛成。ただ、初優勝に向けて「絶対に勝ちたい試合」に変わりはない。実際にプレーする選手たちが、どのようにプレッシャーと向き合えるか? そこが焦点だった。

真っ先に上がった不安点は、抑えの山崎になる。同点のまま延長10回から登板したが、1死から万波に決勝のソロを浴びた。カウント2-1からのツーシームを打たれたのだが、自信をなくしているのか、真っすぐで攻め込む姿勢がまったく見えなかった。

このイニングで20球を投げ、真っすぐは7球だけ。特に真っすぐを投げるときは打者の意表を突くような使い方になっている。山崎のツーシームは指で挟んで投げる変化球。シュート気味に落ちるフォークのような軌道で、真っすぐで押すようなスタイルでなければ見極められてしまう。

極端に言えば、真っすぐに自信がなくても投げられるようにするしかない。もっと内角を突くなりして、ピッチングを見直さなければ厳しい。防御率も4点台で、とてもストッパーとしての合格点は与えられない。

2番手の三嶋も、8回を投げた伊勢も失点したように、明らかに本来の出来ではなかった。投げる姿を見ても力みすぎ。真っすぐは高めに上ずり気味だし、フォークのような「抜き球」は本来のキレがなかった。

打線にも硬さが見えた。日本ハムの先発・上原は、右打者への内角を攻めた。バッティングカウントでも内角を攻めたのは、捕手として「怖さ」を知らないマルティネスの影響もあるのだろう。それならばノビノビと長打狙いでいい。本来のDeNA打線なら攻略できると思っていたが、5回1/3 1失点で、打ちあぐんでしまった。

日本ハムの拙攻やミスに助けられて接戦にはなったが、プレッシャーのかかる試合で力を発揮できないのは、今後の戦いに向けて致命傷になりかねない。優勝争いの重圧は、こんなものではない。ただ、交流戦の最終戦でこのプレッシャーを経験できたのは大きい。この教訓を糧にして、乗り越えなければいけない。(日刊スポーツ評論家)

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