久しぶりに佐々木朗希のピッチングを見たが、明らかに「すごみ」が増していた。確かに今試合は本来の球威に加え、制球力も良かった。今季最長の8回を投げて無失点。力通りの結果ともいえるが、相手打者を観察しながら投げられるようになっていた。
最後のイニングとなった8回、先頭打者の外崎に対し、フルカウントになった。ここから捕手・佐藤都のサインに首を振って投げたのは、159キロの真っすぐだった。やや高めにいったが、外崎は慌ててバットを出すようにして空振りした。
2死後、今度は3番のマキノンに対し、カウント1-1からサインに首を振ってフォークを選択。低めにワンバウンドしたが、マキノンは空振り。最後はフォークでサードゴロに打ち取ったが、打ち取られたマキノンはヘルメットを投げて悔しがっていた。
もともと捕手のサインによく首を振って投げるタイプだが、自分の得意な球を投げるのではなく、打者の反応を見て投げ分けているように見えた。前回と前々回の先発で勝てなかったため、今試合ではより慎重に打者を観察。捕手の出すサインに頼らず、自分の考えで投げたのだろう。
唯一のピンチだった初回も、冷静だった。無死一、三塁から暴投を挟んで無死二、三塁になったが、マキノン、中村、高木を2球で2ストライクに追い込み、勝負を焦らずにボール球をはさみ、3者連続空振り三振。
6回2死からの中村にも、まったく隙がない投球だった。2アウトからの四球は「よくない」とされるが、甘く入らないように細心の注意を払った上での四球。集中力は途切れなかった。
一方、西武の先発・平良のピッチングはもったいなかった。3回2死三塁から角中に内角の真っすぐを狙い打ちされた。初球に甘いスライダーを見逃していたし、カウント1-2からの痛打だった。
中村奨の一発も悔いが残る。第1打席と第2打席でファーストストライクを見逃していたスライダーを初球に狙われていた。平良もよく首を振って投げるタイプ。角中に対しては洞察力に欠け、中村奨には不用意にストライクを取りにいった結果だった。何よりも本人に「しまった」という悔しさが残ったと思う。
好投手同士の投げ合いで、どちらもそう簡単に点は取れない。それだけに、両投手のささいな観察力の差が勝敗を分けた。(日刊スポーツ評論家)




