打線が湿りがちのDeNAにとって、バウアーが投げる試合は落とせない。特に一発が出にくいバンテリンドーム。中日の先発も好投手のメヒアだけに、少ない得点をどう守り切るかが、今試合でのポイント。バウアー以外にも今永、東といった安定感が抜群な先発投手がいる。今後の戦いにおいても守り勝てる野球ができたときに、DeNAの逆転優勝の活路が開けると思って見ていた。

そんな中で「しっかりしろ」とゲキを飛ばしたくなる選手がいた。レギュラーではないが、ショートを守る京田だ。5回1死三塁、前進守備の中で、岡林の打球はショートに転がった。正面やや右側に転がったゴロに対し逆シングルでキャッチした京田の送球は高めに浮いた。ホームはセーフになった。

記録は京田の野選でエラーにはならなかった。しかしこの状況で三塁走者はバットに当たった瞬間にスタートを切ってくる。正面の打球であっても、ホームはクロスプレーになる確率が高い。頭の中に入っていれば、前に出て捕らなければいけないのに打球を待ってしまった。足が前に動いていれば高めに浮かなかったし、確実にアウトにできたタイミングだった。

さすがに「まずい」と思ったのだろう。1死一塁から龍空の当たりもセカンドベース寄りのゴロになった。直前にミスをしていただけに硬くなってしまったのだろう。やや強い当たりでスリップした打球に対して差し込まれた。グラブ捕球ができず、二塁はアウトにできたが一塁はセーフになった。

守りを買われて内野の要でもあるショートを守るのだから、この2つのプレーはなんとかしなければいけない。しかし、私が1番、ダメだと思ったプレーは他にある。5回2死三塁、一打同点のピンチで、宇佐見の打球は三遊間の前方にフライを打ち上げた。これをサードの宮崎がキャッチしたが、この打球は京田に捕ってほしかった。

守備につく選手はミスをすると、プレーに参加したくなくなる。しかしショートは内野の要で、自分で捕れるボールはすべて捕りにいくぐらいの心構えが必要。特にまずいプレーがあった後はなおさら。宮崎が声を出したから任せたのだろう。しかし打球の高さや飛んだ場所を見ても、ショートは十分に捕りにいけた。ここで消極的になるから、ミスが続いてしまうのだと思う。

6回1死一、三塁だった。セカンドゴロを捕った牧がタッチを避けようと下がった走者を必死に追った。そしてタッチアウトにし、そのまま一塁へスライディング。走者とぶつかりながら、一人で併殺を完成させた。このプレーがなければ三塁走者はホームインし、同点に追いつかれていた。

この闘志あふれるプレーを見習ってほしい。内野はまず最初に「自分でアウトにする」という心意気が大事。守備はすぐにうまくならないが、こうしたプレーの積み重ねがチームを奮い立たせる。DeNA内野陣に必要な部分だと思う。（日刊スポーツ評論家）