阪神が宿敵巨人を破り、今季最長タイで球団初となるシーズン2度目の10連勝を飾った。4カード連続の勝ち越しで貯金は今季最大35とし、広島がヤクルトに敗れ、優勝マジックは1。14日巨人戦での球団史上最速Vが現実味を帯びてきた。

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阪神が巨人に2戦連続の完封勝ち。もはや“伝統の一戦”と冠をつけるには、ふさわしくないほど一方的な勝ちっぷりだ。

山田 目標に向かって一直線の阪神と、それを失って浮上のきっかけさえつかめなかった巨人との差は歴然で、戦いにそのまま表れた。緊張感のある阪神は序盤にチャンスをつぶしても、それが重荷にならず、マイナスに働かない。すぐに佐藤輝が満塁本塁打を放つのだから、緊張感がいいほうに出たといえるだろう。

阪神ベンチは先発の青柳を6回で代え、ブルワー、桐敷、石井で逃げ切りをはかった。

山田 青柳は少しいいボールが戻ってきた。具体的に言うと、ストレートで押し込めるようになってきたが、ベンチとしてはまだまだ心配だろうと思う。今シーズンの投手陣は故障者もカバーできたし、万全だった。先発では、台頭した村上、大竹が2桁勝利の勝ち星以上に内容が良かった。この2人の新戦力が、伊藤将や若手の刺激となって引っ張った。リリーフも無理をさせない起用で1シーズンもたせた。逆に巨人の敗因はピッチャーだった。結果よりも内容が悪すぎる。抑えは故障する、先発はそろわない、外国人は働かない…。技術よりも精神から鍛え直す必要があるのではないだろうか。

これで阪神の対巨人は16勝5敗1分け。優勝マジック点灯から、“大波”もなくこぎつけた。

山田 阪神は打つほうも“線”になったし、攻・守・走にバランスが取れて“穴”がなかった。久々に優勝するチームだから、マジックがプレッシャーでなくパワーになった。オリックスもそうだった。これが常に優勝争いを経験しているチームだとガチガチになるものだが、18年ぶりの阪神ではマジックが勢いに変わっている。【取材・構成=寺尾博和編集委員】