3位のDeNAが意地を見せ、2位の広島を相手に競り勝ち。1ゲーム差に詰め寄った。今季はここまで、大事な試合でふがいない試合が続いていたが、先発した東が完璧なピッチング。2位浮上への望みをつなぎ、3位死守に向けても、また一歩前進した。

今季、急成長した実力は健在だった。5回1死まではパーフェクトピッチング。7回に1点を失ったが、先頭打者の矢野の二塁打はポテンヒットで、小園、堂林の連続ヒットもゴロの打球で転がったコースが不運だっただけ。このイニングで27球を投げてしまったが、6回までは65球の“省エネ投球”。ハーラー独走の15勝目を挙げて「DeNAに東あり」を見せつけた試合だった。

「勝負どころ」を見極め、大胆にプレーできる度胸がある。その片りんを感じさせたのは、7回2死一、二塁からのバッティングだった。カウント1-2に追い込まれながら、低めのボールゾーンに落ちるフォークに食らい付いた。レフト前に貴重なタイムリーを放ち、自らの援護点をたたき出した。

広島3番手の矢崎は、力のある真っすぐとフォークのコンビネーションで攻めるパワーピッチャーで、狙い球をフォークに絞っていた。初球の真っすぐを見逃してストライク。2球目のフォークをファウル。3球目の真っすぐを見逃してボールだった。力のある真っすぐは「どうせ打てない」と捨てていた可能性もあるが、フォークに狙い球を絞ってなければ、とても打てる球ではなかった。ピッチングで見せるクレバーさは、バッティングでも生かされていた。

チームも絶対の信頼がある。初回、先頭打者の大田が四球で出塁すると、桑原が送りバント。初回の手堅い戦術も、東の先発を見越してだろう。そして次回の先発は中5日で4位の巨人戦が濃厚。少しでも余力を残せるように、7回92球で降板した。負けられない広島を相手に、理想的な勝利で締めくくった。(日刊スポーツ評論家)