オリックスがシーソーゲームに敗れた。対戦成績はアドバンテージの1勝を含め2勝1敗となった。日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(70)は一時逆転を許した6回の場面を解説した。

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二転三転する接戦だったが、6回表が大きなポイントになった。2点リードのオリックスは田嶋が2死から連続四球を与えた。5回まで2安打1失点に抑えていたとは、時折引っかかったり、抜けた球があるなど不安定だった。ロッテ打線はタイミングが合わず、替え時は難しかっただろうが、2四球は危険信号だ。変化球が抜けて高めに浮けば、長打を打たれる可能性もある。ベンチの中嶋監督の表情はかなり迷っているように見えたが、ここは投手を代えるべきだった。

初戦に登板した平野佳をベンチから外し、山崎颯を9回で起用しなかったのは、故障明けの連投ということもあったのかもしれない。チーム事情は分からない。ただ6回の場面は小木田を投入し、回またぎで任せる選択肢もあったはずだ。中嶋監督は、普段は「におい」を察知し、スパッと投手交代に動くが、この試合は我慢し過ぎたと思う。

さらに2四球の後に、守備のミスもあった。2死一、二塁で、続く岡が左翼にタイムリーを放ったが、杉本が間に合わない三塁に送球し、打者走者の二塁進塁を許した。ここは二塁に送球し、一塁で足止めさせなければならない。記録は二塁打となったが、実質的にはエラーといっていいプレーだった。もちろん、守備で好プレーもあったし、打線の粘りや中継ぎの奮闘で2度逆転したのは、チームの底力だ。それだけに初回、9回に四球で出した走者が失点に絡んだことも含め、流れを相手に渡してしまい、シーズンではあまり見られなかった終盤の逆転負けとなった。

くしくもこの日はバファローズとロッテの「10・19」。あの日は、私の野球人生で最も長い1日だった。いつもは空席が目立つ川崎球場が超満員で、びっくりした。その後、パ・リーグが盛り上がる分岐点のような試合だったと思う。試合前には吉井監督が「近鉄魂を引き継いでやってます!」と力強かった。関係者の努力の積み重ねで、今のパの人気がある。投手力に分があるオリックスの優位は変わらないが、見応えのある第2戦だった。

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オリックス対ロッテ 6回表、マウンドで平井正史投手コーチ(右)と話をするオリックス先発の田嶋(中央)(撮影・狩俣裕三)
オリックス対ロッテ 6回表、マウンドで平井正史投手コーチ(右)と話をするオリックス先発の田嶋(中央)(撮影・狩俣裕三)