ソフトバンク4年ぶりV奪回なるか-。日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(54)が、今季のホークスを2回に分けて分析。「打線編」に続く「投手編」では、先発陣の立て直しを最重要ポイントに挙げました。

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ソフトバンクV奪回のカギを握るのは、何と言っても「先発投手」の踏ん張りだろう。攻撃力アップが望めるだけに、いかに自慢の「先行逃げ切り型」のゲーム運びができるか。先発陣の奮起が命運を握っている。守護神のオスナが4年契約を結び、中継ぎ陣はリーグ最強と言っていい。

小久保監督が今オフ、先発ローテ確定を明言しているのはチーム唯一の2桁勝利を挙げた有原とベテラン左腕和田の2人だけ。ポイントは、東浜、石川、板東、大津らとともにドラフトで獲得した大卒&社会人の即戦力4投手だ。2位の岩井俊介投手(22=名城大)、4位の村田賢一投手(22=明大)、5位の沢柳亮太郎投手(23=ロキテクノ富山)、6位の大山凌投手(21=東日本国際大)が、どれだけ1軍マウンドで活躍できるか。大いに期待したいところだ。

打線強化も重要だが、やはり投手力を中心とした守りの野球は、長いシーズンを制する「必勝法」の大きな要素。昨年、首位オリックスに15・5ゲーム差の大差をつけられて3位に甘んじた最大の要因は、先発陣の差だった。ホークスの先発投手の勝敗は46勝55敗の借金9。オリックスは61勝37敗の貯金24。ほぼゲーム差を示している。セットアッパーを務めたモイネロが今季から先発転向する予定だが、故障明けだけに大きな期待をかけるわけにもいかない。小久保監督も先発陣の起用については難しいタクトになるだろう。

個人的に期待しているのは5年目の大関だ。昨年は開幕投手の大役を務めたが、体調不良もあって5勝7敗に終わった。今季からは元監督の工藤さん、杉内(現巨人投手コーチ)が現役時代に背負った左腕エースの象徴ともいえる背番号「47」を付け、成長を期している。昨年暮れの契約交渉では球団側に将来的な「メジャー志望」も伝えた。しっかり自身の方向性を見ている姿も頼もしい。忘れられないシーンがある。昨年8月5日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で4回6失点KO。降板後、悔し涙を流しながらもベンチ最前列でしっかり声を出してチームを応援していた。ハートも熱い男だ。悔しさを力に変え、今季の先発陣をけん引してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク大関友久(2023年10月撮影)
ソフトバンク大関友久(2023年10月撮影)