オープン戦とはいえ、阪神の1イニング4失策はいただけなかった。野球にエラーはつきものだが、チームにとっては逆転負けはさておき、気分が良いはずはない。

小幡のプレーはやや難しいゴロだったし、前川も深追いだった。好敵手になる木浪はちゃんとゲッツーを決めていたし、井上もタイムリーを打っていたから対照的だった。

ただ攻撃面では、本番さながらの得点シーンもあった。2回1死から8番木浪が右前打で出塁し、9番坂本が内野安打で続いた場面だ。それは昨シーズンの“つなぎ”を思わせる攻め方だった。

この場面での坂本はカウント3-2からランエンドヒットの形になったが、ヤクルト長岡の逆を突くかのように三遊間方向にゴロを転がした。坂本はこのショートの二塁ベースに入る動きを見ていたはずだ。

なんとか打球に追いついた長岡だったが、二塁への送球がそれて、一、二塁に好機が広がった(記録は遊安)。その後、続く近本が右前タイムリーを放って、まんまと追加点をとることに成功した。

これがレギュラーシーズンだったとしたら、相手チームが嫌がる「1点」だった。開幕投手が決まった青柳にも大きな援護点になった。青柳は丁寧な投球でアウトを重ねたが、何より表情からも気合が伝わってきた。

開幕が近づくにつれ、メンバーのふるい落としに入ってくる。今後は引き締まったゲームを見ることができると期待したい。

(日刊スポーツ評論家)