首位巨人と4位阪神の「伝統の一戦」第3ラウンドは1点差で巨人に軍配が上がった。これで両チームのゲーム差は2・5に広がった。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(43)は5回、同点のホームを踏んだ巨人吉川尚輝内野手(28)の状況判断が勝利を呼び込んだと分析した。【聞き手=佐井陽介】
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巨人は吉川選手の好走塁が光りました。1点を追う5回1死二塁。3番ヘルナンデス選手が詰まらされながら左翼前にハーフライナーを打ち上げました。遊撃の熊谷選手、左翼の豊田選手ともにダイビングキャッチを試みる可能性もあった打球。吉川選手は1度立ち止まって落下地点を予測すると、瞬時にスタートを選択して三塁ベースを蹴りました。結果、打球は左翼前にポトリと落ちて同点。続く4番岡本和選手の中堅フェンス直撃の勝ち越し二塁打まで呼び込みました。
あの場面、スタートを切る判断は相当に難しかったはずです。もし仮に遊撃手か左翼手にダイビングキャッチに成功すれば、流れを完全に止めてしまう最悪のゲッツーです。一方で安全策を採った場合は1死一、三塁で4番岡本和選手。多くの選手が自重してしまいそうな打球で迷いなくスタートを切ったのですから、ファインプレーと表現しても大げさではないでしょう。もし1死一、三塁だと、岡本和選手は内野ゴロ併殺打も気にしながら打席に立たなければなりません。岡本和選手を楽にした意味でも、吉川選手の走塁は実に効果的でした。
巨人は2点を追う3回にも懸命な走塁で1点をもぎ取っています。1死から9番の井上投手が内野安打で出塁。1番丸選手の一、二塁間を抜く安打で迷わず三塁を陥れました。ここで注目すべきポイントは、送球が浮いた瞬間に丸選手も二塁を狙って間一髪でセーフになった点です。ここでも併殺打がある1死一、三塁ではなく二、三塁にしたことで、2番吉川選手は楽な気持ちで犠飛を打ち上げられました。この日に限れば、巨人ナインの状況判断が勝利を呼び込んだ形です。
阪神からすれば、不運な一面もありました。同点で迎えた5回1死一、二塁で代打近本選手が右前打。二塁走者の小幡選手は楽々ホームインかと思いきや、右翼・丸選手のストライク返球の前に間一髪でタッチアウト。何が起こったのかと思いましたが、小幡選手は走塁中に足を肉離れしていたそうです。4チームによる混戦が続くセ・リーグ。どのチームも簡単に安打を集められない以上、今後は阪神もこの日の巨人のように少ない安打と状況判断で次打者を楽にしていく作業が重要になりそうです。(日刊スポーツ評論家)




