2025年の米国野球殿堂表彰が21日(日本時間22日)、米ニューヨーク州クーパーズタウンで発表され、メジャー19年間で通算3089安打を放ったイチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、資格1年目にして選出された。

   ◇   ◇   ◇

今更言うまでもないが、イチローは球界に非常に多くのものを残した。彼が現れたことによって、メジャーリーグにおける日本人野手への見方も大きく変わっただろうし、活躍することで日本の野球も認められた。当時の野球というのはホームランが目立ったが、その中でスピード野球を強烈に印象づけた。

マリナーズでチームメートだった頃、イチローに聞いたことで驚かされたことがある。いつもバッティング練習では、ポンポンホームランを打っていたので「ホームランだけを狙ったら、30本くらい打てるやろ?」って聞いたら、「僕が求められてるのはそれじゃないですから」と。「塁に出ることですから」と言ったのを聞いて、「これは、すごいな」と思った。

おそらく、打率が2割8分くらいとかであれば、ホームランは30本くらい打ったのではないだろうか。今でも覚えているが、ボールを飛ばす力というか、捉え方が本当に素晴らしかった。バットをボールの下に入れて、回転がすごくきれいな打球だった。ボールにスピンがかかっているから、よく伸びた。

外と中では別人で、外に出れば「鈴木一朗」になるが、グラウンドでは「イチロー」だった。食事に行けば、面白いことや冗談も言ったりするが、グラウンドではイチローという人間を演じていたのだろう。野球ではルーティンがすごくて、試合前のトレーニング、グラブ磨き、奥さんが作ったおにぎりを食べるなど、1日の流れが常に同じだった。

数々の記録を残したが、特筆すべきことはケガに強く、試合に出続けたことである。心技体がそろっていなければ不可能だし、「継続は力なり」という言葉があるが、まさにイチローはそれを貫き、生活の全てを野球にささげた結果。強い時代のマリナーズの象徴だし、彼が成し遂げたことは永遠に語り継がれるだろう。(日刊スポーツ評論家)

アジア人で初めての米国野球殿堂入りし、記者会見するイチロー氏(AP)
アジア人で初めての米国野球殿堂入りし、記者会見するイチロー氏(AP)