夏、甲子園を沸かせたのは広陵・中村奨成捕手(3年)だった。大会記録となる6本塁打を放つなど大ブレーク。高校日本代表にも選出され、一躍、ドラフト1位候補となった。ところで、現在プロ野球12球団で中村姓の現役捕手はわずか2人しかいない。ヤクルト中村悠平捕手(27)と広島中村亘佑捕手(26)だけだ。侍ジャパンにも選出された経験を持つ燕の正妻は同じ「中村君」をどう見ているのだろうか。聞いてみた。

 ヤクルトの中村は口を開くと「本当にいいキャッチャーですよね」と笑った。テレビ中継やニュースで広陵・中村の活躍が取り上げられるのを見ていた。「あれだけ打てるし、数字を見てすごいと思います」とほめた。

 プロの目から見てどこが一番良いのか? と水を向けると、何よりも評価したのは捕手としての風格だった。「テレビで見ていて、目つきや顔つきが抜群に良い。僕もいろんな選手のことを見ていますけど、バッターボックスに立つ風格だったり、マスク越しに見える目。それが違う」と話した。捕手として大事な能力として試合を俯瞰(ふかん)し、落ち着かせること。そしてチームの士気を高める闘志が備わっているとほめた。

 さらに走攻守だけでなく、「数字はもちろん、身体能力があるのは分かる。でもそれ以上に熱いものが伝わってくる。あれだけの風格や堂々としたものはなかなかない」と捕手として理想的な素質、精神力が備わっているとした。

 一通り話し終わると「決してヤクルトには来てほしくないですね。名前の登録がややこしくなるんで」と笑った。ヤクルトも上位候補として広陵・中村の名前を挙げている。夏が終わり秋が来れば訪れるドラフト会議。新たな「捕手中村」はどこの球団が獲得するのだろうか。【ヤクルト担当=島根純】