西武の身長190センチ右腕も、海を渡ることを決めた。高橋光成投手(20)の行き先はオーストラリア。「今年はケガをして他の投手より投げていない。実戦も少ない。少しでも取り返したいんです」。森、中塚とともに11月13日に日本をたち、同国のウインターリーグに参加する。

 今季は開幕ローテーション入りを果たすも、右肩の違和感で5月に離脱。回復まで時間を要し、復帰登板はシーズン終盤の9月24日オリックス戦だった。プロ3年目は7戦で3勝4敗の防御率4・12。「チームのために何も出来なかった1年」と唇をかみしめる。

 それでも、後ろばかりを見てはいられない。リハビリ中、もどかしさと戦いながら、学んだことも多かった。投球フォームを見直し、トレーニング方法も再確認。技術面だけでなく、肩や体の構造にも「しっかり知らなきゃいけない」と目を向けた。「もちろん悔しさはあります。でも、この経験を絶対に無駄にしないように、これからのプラスにしないといけないと思っています」。

 オーストラリアでのテーマには、原点の直球を挙げた。宮崎・南郷での秋季キャンプでも取り組んだ課題。「真っすぐを低めに投げきる。そこが一番。自分にとっては、勝てるか勝てないかの分かれ目になるくらい、大事なことだと思っています」と力を込めた。

 外国人選手相手の武者修行。同リーグにはかつて、先発の柱へと成長した菊池も参加している。「雄星さんの道を歩みたい」と誓った高橋光。周囲からの期待も大きい。自ら進んで前に出ることの少ない男が、志願して挑む異国のマウンド。何をつかみ、どんな表情で戻ってくるのか、楽しみにしたい。【西武担当=佐竹実】