じっくりと焦らず。飛躍のために用意された“育成プラン”が高卒右腕にはあった。16年ドラフト3位の阪神才木は1年目の今季、決められたローテーションを2軍で守ってきた。

 単純な中5日、中6日というものではなく、徐々に間隔を詰めていくもの。6月15日中日戦(ナゴヤ)での先発登板を手始めに中13日→中10日となるなど、シーズンが進むにつれて縮まっていった。14試合に登板して1勝5敗、防御率4・88だったが、成績よりも大切だったのが登板間隔を守って投げることだった。

 「たくさん投げたい気持ちはありましたけど、投げない日はウエートや体幹で体を鍛えられたと思います」。登板日以外は、マウンドに上がりたい気持ちを胸にしまい込み、鳴尾浜のウエートルームにこもった。

 めきめきと力をつけた才木を目当てに、金本監督が鳴尾浜へ何度も視察に訪れた。才木はシーズン終盤に1軍登板も2試合経験。秋季キャンプでは金本監督が直々にブルペンの打席に立って球筋を見るシーンも。MVP級の評価をもらった。大切に育てられた19歳は来季が2年目。開幕ローテ入りを目指し、初めてのオフを迎える。【阪神担当=真柴健】