昨季8勝を挙げたオリックスの2年目山岡泰輔は、隠さない。昨シーズン終了後から「縦のカットボール」という珍しい球種にチャレンジしている。米球界ではダルビッシュらが投げるとされるが、国内では使い手が少ない魔球。山岡は「カットボールの握り方で縦に落とすように投げるから、縦のカットボール。順調ですよ」と不敵に笑う。

 もともと変化球は多彩で代名詞は縦横2種類あるスライダー。そこから派生した横滑りのカットボールも持ち球にある。縦のカットボールについても「軸を変えるだけ。理論的にはいけるんじゃないか」と、固定概念にはとらわれない。オフには回転数、回転軸などを計測できるハイテク球を2万円で自腹購入し、研究を続ける。

 ただ、それだけ珍しくて時間をかけて手に入れようとしている球種を明かしてもいいのか? 山岡の答えは「いいんですよ。こうやって新聞に書いてもらえれば、山岡にはこういう球種があるって(打者も)思う。それだけでもいい」。2年目とは思えない行動力と思考。172センチ、68キロの右腕にスケールの大きさを感じた。【オリックス担当=桝井聡】

 ◆桝井聡(ますい・さとし)1982年(昭57)12月6日、京都府長岡京市出身。06年入社。09年から中日担当を務め、落合監督、高木監督、谷繁監督と激変するチームを7年間取材。16年から2年間の虎番を経て、今年1月からオリックス担当。