ソフトバンク田中正義投手(23)が強い覚悟で2年目の巻き返しを目指している。自主トレ中、田中の口から何度もこの言葉を耳にした。「実績も何もない。2軍で3イニング投げただけ。今はただの選手です」。そこには5球団競合ドラフト1位のプライドやおごりはまったくなかった。

 今年は2軍にあたるB組でキャンプをスタートした。肩痛に悩んだ昨季と違い、序盤からブルペンで勢いよく投げる姿に、首脳陣の評価も高かった。紅白戦や対外試合でも結果を残しA組昇格。「開幕1軍」へつながる、オープン戦への同行切符をつかみ取った。

 1軍にこだわり、中継ぎに挑む。当初は先発への思いも強かったが、現状5人はローテが確定し、6枠目も中田、石川のどちらかが有力。割って入るのは難しい。2軍で調整を続け、先発のチャンスをうかがう考えもあったが、倉野投手統括コーチに「どんな形でもいいから1軍で投げたい」と言い、リリーフに挑戦することを選んだ。

 2月28日の楽天との練習試合では今季初めて150キロも出た。指にかかった時の直球は、さすが田中正義と思わせるものがある。がむしゃらに逆襲を狙う2年目、どんな投球を見せてくれるのか楽しみだ。【ソフトバンク担当 山本大地】