7000キロの距離を超え、前代未聞の会見が行われた。オーストラリアでウインターリーグに参加するDeNA三上朋也投手(29)が契約更改。球団幹部が現地に渡り1750万円アップの1億500万円でサインした。通常、横浜市の球団事務所で会見を行う流れだが、本人が日本にいない。そのため、インターネット電話サービス「スカイプ」で異例の形となった。

滞在するキャンベラ市内のアパートメントのバルコニー。南半球の夏の日差しに少し日焼けした三上は「変な感じがしますね。本当は会って話がしたいですが」と言いながら、球界初の試みを難なくこなした。タブレットを接続し現地から、同行するチームメートの様子や、自身の体験をリアルタイムに報告。もちろん来季に向け「暖かい中での実戦で、より技術的なことができている」と65試合登板の疲れを見せずオフを過ごす。

IT企業らしい柔軟な発想力で実現した。広報が会見方法を悩んでいると球団幹部が「スカイプでやってもいいんじゃないか」と鶴の一声。通信障害の心配も取り越し苦労に終わり成功した。三原球団代表は「これから他の国にも積極的に派遣したい。今後こういうのも出てくるかもしれない」。画期的な方法だが通常、DeNAの契約更改は会見後にイチョウ並木を選手と一緒に歩き、ぶら下がり取材で本音を聞けるチャンスがある。時代が変われば、契約更改の形も変わっていくが、少しだけ寂しさも感じる。【栗田成芳】 (金額は推定)