西武から巨人にFA移籍した炭谷銀仁朗捕手(31)の人的補償として、内海哲也投手(36)が西武へ移籍することが20日、発表された。

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内海は「お父さん」のような大きな心で、分け隔てなく人と向き合う。若手選手との焼き肉での食事会。開始直後、大先輩を前に緊張から表情をこわばらせながら注文をとり、肉を焼こうする姿に「俺は焼きたがりだから…」と立ち上がった。トングを左手に持ち、手際よく網の上で後輩の大好物のミノを転がす。それぞれの皿に肉を配ると「どんどん食べてや!」と繰り返した。会話の糸口も自ら生み出す。よそよそしい雰囲気を徐々に緩め、笑顔を弾ませた。

選手だけでなく、記者相手にもスタンスは変わらない。記者1年目の私の稚拙な質問にも、必ず立ち止まって、時には椅子に腰を下ろして耳を傾けてくれた。先輩記者とのやりとりを教えてくれ「ああやって聞けば答えやすいよ」と指導もしてくれた。

若手時代は「昔は怖い先輩も多かったから…」と、先輩との壁を感じていた。だからこそ、実績を積み重ねても若手に壁は作らない。誰もが「内海さん!」と声をかけに行く。新たな環境に飛び込んでも、そんなやりとりは変わらないだろう。【桑原幹久】