阪神上本を三振にとり、指をさす日本ハム斎藤佑樹(2019年3月9日撮影)
阪神上本を三振にとり、指をさす日本ハム斎藤佑樹(2019年3月9日撮影)

3月9日の甲子園。日本ハム斎藤佑樹投手(30)が、4583日ぶりに“聖地”の先発マウンドへと戻った。オープン戦で阪神相手に2回シャットアウト。背番号1で敵に立ち向かう姿は、まるで“あの頃”のような存在感を放っていた。

甲子園での先発は「ハンカチ王子」こと早実のエースとして快投した06年夏の甲子園大会決勝、そして翌日の再試合以来だった。この日の登板を最も心待ちにしていたのは、他でもなく斎藤自身だ。妙な高揚感に「昨日、投げ終わってから『あ、オープン戦だったな』って思いましたよ」と苦笑い。プロ入り後、甲子園のマウンドは4年前の交流戦で1度、中継ぎで上がっただけ。「この神聖なきれいなマウンドに、また立てたんだなって、うれしかったですね」。キラキラと目を輝かせて喜ぶ姿は、18歳の夏の日のようだった。

13年前の夏、アルプススタンドから斎藤を見て、清宮は野球を始めた。では、意図せず、多くの人生に影響を与えた斎藤にとってのヒーローとは、誰なのか。「松坂さん!」と即答だった。98年夏の甲子園大会決勝でノーヒットノーランの快挙を成し遂げた“怪物”の姿に、憧れた。「僕がプロ入りした時に既に引退していたら、そこまで思わなかったかもしれない。今でも現役で頑張っているから、よりそう思うのかな」。むしろ、憧れは今の方が強まっている。

昨季未勝利に終わり、並々ならぬ決意で挑む今季は、ここまで絶好調。「僕がずっと1軍にいれば、松坂さんと一緒の試合に出られますかね」。6月末、交流戦の中日戦。ヒーローとの初対決が、次の目標となった。【日本ハム担当 中島宙恵】

9回表駒大苫小牧2死、斎藤佑樹(左)は田中将大(右)を空振りの三振に打ち取りマウンド上で力強いガッツポーズ(2006年8月21日撮影)
9回表駒大苫小牧2死、斎藤佑樹(左)は田中将大(右)を空振りの三振に打ち取りマウンド上で力強いガッツポーズ(2006年8月21日撮影)