オリックスの試合直前に行われるセカンドアップ(練習前に続く、2番目のウオーミングアップ)で、奇妙な光景を目の当たりにしたファンも多いだろう。ベンチ前でナインらが両手の親指を立てながら腕を伸ばし、左右や上下に構える。時には体の正面で前後に指を並べ、親指をじっと見つめている。

これは「ビジョントレーニング」と呼ばれるものの1つで、動体視力や奥行き認識能力などの視覚能力を向上させるもの。カメラのピントのようなイメージで、左右、上下、奥・手前と焦点の切り替えを素早く行う。勝呂内野守備走塁コーチの発案で、2日のオープン戦初戦から取り入れたそうだ。

実は私も大学、社会人とアメフトをやっていた時に練習や試合前のルーティンとして行っていた。オリックスでもおのおので既に取り入れていた選手も数人いる模様だ。勝呂コーチは以前指導していたチームで動体視力を測るテストを実施したことがあるといい、「目の動きが速くなって、タイムが明らかに速くなった。1、2カ月単位で測定したらみんな速くなっていた」と明かした。

セカンドアップに「ビジョントレーニング」を導入した1軍チーフトレーニング担当の鎌田トレーナーは「目からの情報は結構大きいです。目から脳、脳から動かしたいところに伝達されるので。より正しい情報を素早くインプットするものですね」と説明。現在は導入段階で基本的に野手が行っており、「シーズンに入ったらシートノック前とかに入れるかもしれません。よかったら今後も続けていきたいですね」と話した。今季は新生オリックスの“目力”にも注目だ。【オリックス担当 古財稜明】