今日のダルビッシュは本当にもったいなかった。直球は最速98・6マイル(約158・7キロ)を記録し、変化球もすべていい。球自体は本当に超一流のボールを放っていた。左打者ひざ元へのスライダーも決まっていたし、球審も高めを広めにとってくれ、有利な条件はそろっていた。

だが4回、味方が追加点を挙げた直後に逆転を許した。ベルに打たれた適時二塁打は初球の甘い真ん中直球。カブレラの逆転2ランも捕手が内角に構える中で、直球がほぼ真ん中に入った。6回のベルの勝ち越し左本塁打は外寄り高めの直球。一番ボールが飛ぶところに投げてしまった。

気を抜いているわけではないのだろうが、全体的に見ればいい球を投げている中で、大事な場面での不用意な1球が目立つ。メジャーでは基本的に100球しか投げないのだから、より1球の大事さや怖さを考えるべきだろう。

とはいえダルビッシュの力が落ちているかといえば、全然そんなことはない。昨年の右肘手術の前と比べてもボール自体は変わらないどころか、むしろ良くなっている。4月27日以来、勝ち星から遠ざかっているのは、あくまで流れの問題だと思う。ひとつ勝てばポン、ポンと続けて勝つ力は間違いなくある。(日刊スポーツ評論家)