<阪神2-3中日>◇31日◇甲子園

市西宮時代の山本を見て、阪急の剛腕を思い起こした人がいた。17年ドラフト当時のスカウト部長だった中日中田スカウトディレクターは、関大4年時の山口高志氏を直接見たことがあり「とにかく強烈だった」と目を奪われた。山本の球質、投げ方を見て「それくらいの投手になるポテンシャルがある」と、指名に踏み切った。

山口氏も身長こそ小柄だが、どっしりとした下半身が迫力ある投球の源だった。山本も小柄で童顔だが、高校時代からスクワットなどで下半身を鍛え抜いてきた。3年夏の引退後、進路面談のときにソファに座ろうとしてズボンが裂けて破れてしまった。その下半身が最速148キロの速球、プロの打者のバットに空を切らせるカーブ、スライダーを支えている。

少年時代に目をこらした阪神藤川の火の玉ストレートのように「狙っても捉えられないストレートを投げたい」。高い理想を持って、山本は成長を続ける。